【臨床ノート】足は沢山の関節があります。診断名に引っ張られて他関節の不安定性を見過ごすなかれ!

山岸茂則

右足痛を訴えて急遽いらしたノルディックスキー複合の選手をご紹介します。

「朝起きて歩き出したら突然右足痛が」といって連絡があり、軽度の疲労骨折も否定しておきたかったので念のためMRI撮影してもらったうえで拝見しました。MRIではリスフラン関節周辺の炎症と中足骨疲労骨折疑いとのことでした。スポーツは休まなければならないレベルではないとのことでした。

よくお話を伺うと、ビンディングペダルの自転車で通学しているが、左のビンディングペダルが壊れてしまった自転車で1週間ほど通学したそうです(片道1時間くらい)。自転車に乗るときは靴の紐は足首付近でかなりしっかり結んでいるようでした。

※一応、ビンディングペダルについて解説しますが、ペダルに前足部を固定させてつかう自転車のペダルです☟

ビンディングペダル はペダルと前足部間の自由度は失われる

理学所見では伸筋腱の滑走不全や伸筋腱鞘・滑液包の腫脹・圧痛が確認できました。

左のビンディングペダルが壊れたために右足中心で駆動して、それもぎゅっと縛った靴紐が伸筋腱周辺を圧迫した状態で、それで炎症起こしたのか。という仮説になりまして伸筋腱の滑走を促し周辺の組織をやわらげ静脈還流を促進して腫脹軽減をはかりました。

結果、腫脹軽減して伸筋腱滑走も改善したため歩行時の痛みの変化を確認しました。

痛みはNRS10☞7に変化…………意味ある変化ではありますが、もう少し軽減しも良いはずと思いました。

そこで歩行を観察しましたので、まずは、動画をご覧ください。

・・・危なく見過ごしをするところでした(汗)

図でご説明します☟

左:右立脚後期では右前足部が後足部に対して外転してしまっており遊脚側の左の骨盤の前方回旋が不十分です。

右立脚後期では右前足部が後足部に対して外転してしまっており遊脚側の左の骨盤の前方回旋が不十分です(左図)。これに対して左立脚後期では前足部外転は観られず右骨盤の前方回旋もしっかりと観察できます(右図)。

慌てて中足部の不安定性を確認しましたら、右距舟関節の不安定性が確認できました。

右足中心で前足部が固定されたビンディングペダルで、それも足首付近の靴紐をしっかりと結んで駆動していたのですから、横足根関節に負荷がかかるのも無理ありません。横足根関節は距舟関節と踵立方関節からなりますが、距舟関節の方が球関節様で運動性が高く不安定性を引き起こしやすい構造になっています。

ビンディングペダルは新調したところだったので良いとして、靴紐の結び方を追加で指導して、ジャンプの時だけ使っていたNWPLオーソティックス(Superglass®)を普段の靴でも常につかってもらって不安定性を補填するようにしました。1週後には痛みなくスポーツ復帰できてましたから一安心です。来週には北海道遠征、いよいよシーズンインとなります。

さて、画像診断メインの場合は特にですが、関節が多い足部に関してはとくに、医師の診断をすりぬけてくる機能障害や病態というのがあります。

例えば、「外果骨折(保存療法)の既往があって、実は距舟関節の捻挫もしていたようでそこに不安定性が確認される」などです。大きな衝撃が過剰回内で加わると外果にストレスがかかり骨折することはありますが、過剰回内の負荷は同時に三角靱帯や距舟関節の結合組織に負荷をかけるので損傷を引き起こすことがあります。レントゲンで骨折が発見されるとそこに注意が引かれてしまいますが、画像には映らない組織の損傷や機能障害にも目を見張る必要があることを改めて肝に銘じた次第です。

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